自治体の総合計画、結局どこを見ればいい?新人営業担当者のための読み解きガイド
自治体への提案を考えたとき、まず「総合計画を読んでおくといい」と言われることがあります。実際に開いてみると、100ページを超えるボリュームで、章立ても堅い言葉ばかり。「結局どこを見ればいいのか分からないまま、時間だけが過ぎた」という経験をした方は少なくないはずです。
この記事でわかること
・総合計画の3層構造(基本構想・基本計画・実施計画)のうち、営業担当者が実際に見るべき場所
・「重点プロジェクト」「重点施策」という言葉から、自治体の優先分野を読み解く方法
・読み解いた内容を、提案書の言葉にそのまま翻訳する具体的な型
参考:
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自治体への提案内容を固める前に、まず知っておきたいのが「その自治体が今、何を重視しているか」です。総合計画を読み解くことはその第一歩ですが、自治体の政策方針を把握したうえで、自社のサービスや情報を自治体に届けることも重要です。その手段の一つとして、首長マガジンという選択肢があります。
首長マガジンは、47都道府県知事・1,741市区町村長に直接届く自治体経営情報誌です。読者満足度99%・精読率70%という高い数字を維持しており、業種を問わず掲載企業への反響がなかった例はありません。自治体との新たな接点づくりを検討している方は、資料請求から詳細をご確認ください。

総合計画を開いたけど、何を見ればいいかわからない
総合計画とは何か
総合計画とは、自治体が中長期的にどこを目指すかを示す、いわば自治体運営の最上位計画です。多くの自治体で、「基本構想」「基本計画」「実施計画」という3層構造が採用されています。

基本構想が10年前後の長期的なビジョン、基本計画がそれを実現するための分野別の方針、実施計画が向こう数年の具体的な事業に対応しています。
ここで最初に押さえておきたいのは、総合計画そのものは「自治体が目指す方向性」を示す資料であり、それがそのまま予算や発注に直結するわけではないという点です。実際に予算がつき、事業として動き出すまでには、この後で紹介する実施計画や、別途進む予算編成というプロセスを経る必要があります。総合計画は、あくまで「どこを提案の的にすべきか」を絞り込むための地図だと考えると、位置づけがつかみやすくなります。
なぜ営業担当者が総合計画を読む必要があるのか
自治体の予算は、担当部署が思いつきで組んでいるわけではありません。総合計画に掲げられた方向性に沿った事業が優先されやすく、逆にそこから外れた提案は、内容がどれだけ優れていても採用されにくいのが実情です。総合計画を読むという一手間は、提案の中身そのものを変えるというより、同じ提案を通りやすくするための「見せ方」を整える作業だと捉えると分かりやすいでしょう。
とはいえ、100ページを超える文書を全部読み込む時間は、営業担当者にはありません。結論から言うと、次の6つのステップで読み進めれば、限られた時間でも必要な情報にたどり着けます。

ここからは、架空の自治体を例に、この6つのステップを実際になぞっていきます。
【ロープレ】架空自治体「A市 第7次総合計画」を読み解いてみる
特定の自治体の総合計画をそのまま取り上げて解説すると、著作権や個別の政策事情への配慮に欠けるおそれがあります。そこでここでは、あえて架空の自治体「A市」を例に、多くの自治体の総合計画に共通する読み方の型を紹介します。実在するどの自治体の話でもありませんが、型そのものは実在の自治体で確認できる傾向に基づいています。
STEP1:将来像・基本目標をざっくり確認する
A市の基本構想には、「誰もが安心して暮らせる、活力あるまちづくり」といった、将来の都市像が掲げられています。こうした理念は、自治体としての大きな方向性を知るうえでは無駄ではありませんが、抽象度が高く、具体的な事業や予算には直結しにくい部分です。理念にひと通り目を通したら、深追いはせず、次のステップに進んで構いません。
STEP2:重点プロジェクト・重点施策を探す
基本計画のページに進むと、A市では「子育て支援の充実」「防災力の強化」「地域産業の活性化」といった分野別の方針が並んでいます。ここで注目したいのが、「重点プロジェクト」「重点施策」といった、強調された言葉です。
これは架空のA市に限った話ではありません。実際に長崎市では、総合計画の中から特に短期的に着手すべき取り組みを「重点プロジェクト」として抽出し、アクションプランとして別途まとめています。伊勢崎市でも同様に、総合計画の中の「重点施策」に紐づく事業を「重点事業」として位置づけ、毎年度見直しを行っています。「重点プロジェクト」や「重点施策」という言葉は、複数の自治体で共通して使われている、優先度の高さを示すサインのひとつと考えてよさそうです。
呼び方は自治体によって「戦略プロジェクト」「重点取組」など異なることもあります。今回紹介した名称がそのまま見つからなくても、目次や見出しの中で、他の項目より強調されている言葉、独立した章として立てられている取り組みがないかを探してみてください。
参考文献:
長崎市「重点プロジェクト(令和5年度~令和8年度)」
伊勢崎市「第3次伊勢崎市総合計画」

STEP3:自社サービスと関係する分野を見つける
重点プロジェクトの一覧が見えてきたら、次はその中から自社の事業領域に近い分野を絞り込みます。例えばA市が「子育て支援の充実」を重点プロジェクトに掲げているなら、子育て関連のサービスを扱う企業にとっては、ここが提案の起点になります。逆に、複数の重点プロジェクトの中に自社と関連しそうな分野が見当たらない場合は、無理にこじつけるより、他の自治体の総合計画も確認してみる方が現実的なこともあります。すべての重点プロジェクトが、すべての企業にとってのチャンスになるわけではない、という前提は持っておくとよいでしょう。
STEP4:実施計画で具体的な事業を確認する
関連しそうな分野が見つかったら、実施計画のページで、その分野に対応する具体的な事業が書かれていないかを確認します。A市の実施計画では、「子育て支援の充実」という重点プロジェクトに対応する形で、「子育て相談窓口のデジタル化」といった、より具体的な事業名が挙げられているとします。ここまで具体化されていると、自社サービスとどう結びつくかがぐっとイメージしやすくなります。
STEP5:予算・数値目標を確認する
実施計画には、事業ごとに予算の見込み額や、達成したい数値目標が書かれていることがあります。予算欄に金額が記載されているかどうかは、その事業が理念の段階にとどまっているのか、実際に動かす段階に入っているのかを見極める、ひとつの手がかりになります。
これも架空の設定にとどまりません。長崎市では、重点プロジェクトのアクションプランと合わせて、当初予算の記者発表資料も公表しており、重点プロジェクトと実際の予算がどう結びついているかを確認できるようになっています。伊勢崎市も、重点施策に紐づく重点事業について、目的や目標、事業実施の具体的な手段をまとめた「重点事業調書」を毎年度公表しています。
ただし、予算欄に金額が書かれていないからといって、その事業が軽視されているとは限りません。実施計画は数年単位のローリング計画になっていることが多く、初年度は検討・調整の段階でまだ金額が確定していない、というケースもあります。予算欄の有無は、あくまで営業担当者が状況を把握するための目安のひとつであり、それだけで自治体の優先順位や発注の確度を断定できるものではない、という前提で見るのが安全です。
参考文献:
長崎市「重点プロジェクト(令和5年度~令和8年度)」(当初予算の記者発表スライドを含む)
STEP6:自治体の言葉を、提案の切り口に翻訳する
ここまでで、A市が何を重視し、どんな事業を具体的に動かそうとしているかが見えてきました。最後のステップは、これを実際の提案の言葉に翻訳することです。
重点施策のキーワードを提案の書き出しに使う
もっとも手軽で効果的なのが、総合計画に書かれているキーワードを、提案書の冒頭でそのまま使うことです。

このように、自治体自身の言葉を提案の枕に使うだけで、担当者にとっては「うちの方針を理解したうえでの提案だ」という印象になり、庁内で説明する際の材料としても使いやすくなります。反対に、自社のサービス説明を先に書き、総合計画への言及を最後に申し訳程度に添える、という順番は避けたいところです。最初の数行に、自治体の言葉を置くことを意識してみてください。
KPI・数値目標を提案の裏付けに使う
総合計画には、「子育て世帯の満足度を〇%まで引き上げる」といった、具体的な数値目標が書かれていることがあります。こうした数値目標は、自治体が達成したいと考えている指標であり、そこに関連づけて提案の効果を語れると、説得力が増します。ただし、自治体の指標と自社サービスの効果を無理に一致させようとする必要はありません。「間接的にこの指標の改善を後押しできる」という、無理のない範囲での結びつけ方の方が、かえって信頼できる提案として受け取られやすくなります。
総合計画に書いてあること=すぐ予算がつくわけではない
ここまで読むと、「重点プロジェクトに関連する提案をすれば、すぐに予算がつきそうだ」と思うかもしれませんが、それは早計です。

総合計画に書かれているのはあくまで方向性であり、実際に予算として計上されるかどうかは、実施計画で具体化された事業が、別途、年間の予算編成プロセスを経て初めて決まります。総合計画の中身が分かったら、次は「いつ、どのタイミングで提案すればいいのか」という年間スケジュールを押さえておくことが欠かせません。この点については「自治体予算編成のスケジュールとは?営業担当者が知っておくべき年間フローと動くべきタイミング」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

自治体ごとに総合計画のフォーマットはバラバラ
自治体規模によって粒度・書き方が異なる
ここまで紹介した読み方は、あくまで一般的な傾向です。実際には、総合計画の構成やページ数、「重点プロジェクト」に相当する言葉の呼び方は、自治体によってかなり幅があります。都道府県や大都市では、分野ごとの計画がさらに細分化されていることが多く、逆に小規模な市町村では、総合計画自体がコンパクトにまとまっている場合もあります。「このページ数を見れば必ずここに書いてある」という決まった型があるわけではない、という前提を持っておくことが大切です。
それでも共通して見るべき3つのポイント
フォーマットに幅があるとはいえ、押さえておきたい共通点はあります。一つ目は、将来像や基本目標といった、理念にあたる部分がどこかにまとめられていること。二つ目は、分野別の方針や、優先度の高い取り組みを示すページがあること。三つ目は、具体的な事業や予算に対応する実施計画、またはそれに準ずる資料が別途公表されていることです。名前や構成が違っても、この3つの役割はほとんどの自治体の総合計画に共通しています。
今すぐできること
自分の担当自治体の総合計画を検索してみる
ここまでの内容を踏まえて、まずは実際に、自分が担当している自治体の総合計画を検索してみてください。「(自治体名)総合計画」で検索すれば、多くの場合、公式サイトの該当ページにたどり着けます。
総合計画チェックリスト(STEP1〜6対応)
☐ STEP1:将来像・基本目標を確認した
☐ STEP2:重点プロジェクト・重点施策に相当する言葉を探した
☐ STEP3:自社サービスと関係する分野を見つけた
☐ STEP4:実施計画で、その分野に対応する具体的な事業を確認した
☐ STEP5:予算の見込み額や数値目標が書かれているか確認した
☐ STEP6:自治体の言葉を使って、提案の切り口を考えた
まとめ・次のステップ
「総合計画なんて、読んでも意味があるのだろうか」——記事の冒頭でそう感じていた方も、ここまで読み進めていただいたことで、少し見方が変わったのではないでしょうか。100ページを超える文書のすべてに目を通す必要はなく、将来像を確認し、重点プロジェクト・重点施策を探し、自社と関係する分野を実施計画まで掘り下げて予算を確認する。この6つのステップさえ押さえれば、総合計画は「読み込む対象」ではなく、「提案の切り口を探すための地図」として十分に機能します。
そして、今回はA市という架空の自治体を例にしましたが、ここで紹介した型は特定の自治体の書式に依存するものではありません。総合計画の構成や名称は自治体ごとに幅がありますが、将来像・重点分野・具体的事業・予算という基本的な流れそのものは共通しているため、担当が変わっても、別の自治体を任されても、同じ手順で読み解くことができます。
総合計画で「何を」提案すべきかの見当がついたら、次に押さえておきたいのは「いつ」動くべきかというタイミングです。同じ内容の提案でも、自治体の予算編成が始まる前に届けるのと、予算が固まったあとに届けるのとでは、通りやすさが大きく変わってきます。この年間スケジュールについては、「自治体予算編成のスケジュールとは?営業担当者が知っておくべき年間フローと動くべきタイミング」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

全力優編集部について
全力優は、日本初の首長向け自治体経営情報誌である「首長マガジン」の企画・編集を手がけています。首長マガジンは2023年7月創刊、47都道府県知事・1,741市区町村長へ直接届けられる自治体経営情報誌として年4回発行しています。
BtoGマーケティングの一歩先、首長マガジンで
総合計画を読み解き、提案の切り口を作れたとしても、それを届ける相手は担当部署だけではありません。総合計画の理念や重点プロジェクトの方向性を最終的に決めているのは、首長自身です。事業部門への提案と並行して、自治体経営層への認知づくりを進めておくことも、中長期的には大きな差になります。
首長マガジンは、47都道府県知事・1,741市区町村長に直接届く自治体経営情報誌です。読者満足度99%・精読率70%という高い読了率を維持しており、業種を問わず掲載企業への反響がなかった例はありません。自治体との新たな接点づくりを検討している方は、資料請求から詳細をご確認ください。

