【一関市長インタビュー】世界初の加速器・国際リニアコライダーを東北へ、新産業、技術の集積地に

[mokuji]
ILC受け入れに向けた課題
大きく2つあります。
1つ目はILC受け入れに対する市民の抵抗感を少しでも小さくすることです。
加速器において、光の速さで素粒子同士を衝突させる実験を行うのですが、そうするとX線等の放射線が発生するんです。
しかし、放射線の発生は加速器の運転停止とともに停止します。
もちろん放射線物質が含まれる可能性のある施設内の空気や水が、直接管理区域外に放出されないよう設計しますし、安全性確保の対策は怠りませんが、やはり市民の皆さんは不安だと思います。
2つ目の課題についても教えてください。
1つ目の課題と重なる部分もあると思いますが、ILC受け入れ自治体の市民としてのリテラシーを高めることです。
もしILC誘致が実現したら、日本の歴史上最も規模の大きい国際プロジェクトということになります。
ですから、私たち自身が国際的視野、視点を持って望まなければいけないと考えています。
これまでの主な取り組みは以下の表の通りです。
取り組み名 | 概要 |
---|---|
いちのせきサイエンスカフェ | 市民を対象に科学を楽しく学べるワークショップや、素粒子物理学の専門家を招いての講演会等を開催。 |
中学生ILC特別授業 | 高エネルギー加速器研究機構(KEK)素粒子原子核研究所研究員の倉田正和氏を講師に、素粒子の基礎やILCの研究内容について学ぶ講演と霧箱実験を開催。 |
「全国地ビールフェスティバルin一関」でのPR | ILC特別展の開催や、ステージ上でのPR活動。 |
ILCキャラバン | ILCや地域の国際化をテーマとした講演の開催。 |
ILD meeting 2018 in ichinoseki | ILCの測定器グループの研究者が参加して意見交換を行う国際会議。おもてなしの一環として、英語劇や鶏舞を披露。 |
一関市「ILCニュースWEB活動報告」を参考に作成
地元の子どもたちにとっても学びになると思います。
そうですね。
私自身、これまで小中学校等でおよそ150回、ILCに関する講演を行っています。
その中で、私の中学校での講演を聞いて、「将来ILCの研究者になりたいです」という生徒が出てきました。
その生徒は今東北大学の理学部(素粒子物理学専攻)に通っています。
一関市から他所の大学に進学し、ILCが完成した時に研究者になって一関市に戻ってくる。
そんな将来が実現するのが楽しみです。
来たるILCの受け入れに向けた人材の育成
個人的に、ILCは一関市に来ると確信しています。
ILCが来ると決まった時の動き出しの第1歩、ここをしっかりと踏み出すことが肝要だと思っています。
そのためには、やはり人材育成が何よりも一番大事な部分です。
まずは内部、市役所の人材の底上げに取り組んでいきたいと考えています。
岩手県職員時代に出会ったILCの誘致実現に向けて、粘り強く取り組む姿勢が印象的でした。
貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!
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