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株式会社全力優

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2025/12/22 社員コラム

行政とメディア、二つの現場を知る編集ディレクターの視点――佐藤美紀(『首長マガジン』ディレクター)

行政とメディア、二つの現場を知る編集ディレクターの視点――佐藤美紀(『首長マガジン』ディレクター)
佐藤美紀(『首長マガジン』ディレクター)

「首長マガジン」は、全国の首長に寄り添うユニークな雑誌だ。その品質を支え、「味わい」を生み出しているのはどのような担い手なのか。

今回は、首長マガジン編集部でディレクターを務める佐藤美紀に話を聞いた。新聞記者、福島市役所職員を経て、首長マガジン事業に参画。メディアと行政の内側の両方の現場を知る視点が、いかにして首長マガジンを支えているのか。そのキャリアストーリーから紐解いていく。(インターン・千葉小鈴)

伝えるプロから行政へ。異色のキャリアを辿る

佐藤のキャリアの原点は、大学時代に遡る。文章を書くこと、伝える仕事に興味があった。福島県から上京し、大学はメディア専攻の学部に進学。そして、1年生の3月に、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故が発生した。

福島県出身だが、東京にいた自分。直接被災した地元の人たちとの間に感じる温度差に、言葉にできない悔しさを感じたという。

「何かしたい、何かできないかと思いつつ、大きく動くこともできなかった。その悔しさもあり、就活では『福島で働く』、『文章を書いて、伝える』という二つの軸を持っていました」

その想いが叶い、佐藤は地元の新聞社・福島民報社で新聞記者としてキャリアをスタートさせた。報道部、社会部、整理部、紙面管理部の部署で精力的に活動。転機は第二子の誕生だった。

「新聞社の仕事は、どうしても夜がメインになることが多く、子育てと、自分が本当にやりたい仕事との両立が、この状況では難しいと感じ始めました。日中に全力を出して、自分の力を評価される場所に行きたい。そう考えて、市役所への転職を決意しました」

市役所で配属されたのは農業企画課で、部署全体の予算・決算の取りまとめや、議会関係の資料作成などを担当することになった。佐藤はここでも持ち前の現場主義を発揮。特に力を入れたのが、農業の現場の課題解決だ。

「農業者のところに実際に足を運んで、『何に困っているか』『どういう制度なら活用したいか』を直接聞くことを大事にしていました」

農業者の高齢化や人手不足といった課題に対し、現場のニーズに基づく「スマート農業補助金」の実装や、市の職員が農業で副業できるという画期的な制度立ち上げを、中心となって担当した。

メディアの最前線で「伝える」仕事。そして、行政の内部で「仕組みを作る」仕事。この二つの異なる経験が、現在の首長マガジンで掛け算として活かされることになる。

三つの視点が記事の品質を作る

佐藤の現在の肩書は、首長マガジン編集部のディレクター。原稿の執筆だけでなく、雑誌全体の進行管理、外部ライターへの依頼と原稿の確認、取りまとめまで、編集業務全体を指揮する。新聞社時代の経験が土台となっていることは言うまでもない。どのような力が発揮できているか聞いた。

1. 取材で培った聞く力

記者の本分は「人に会って話を聞くこと」。

「一日に何人もの人と会います。『どうコミュニケーションを取るか』『どういう質問をすれば、より深い答えが返ってくるか』という質問力と瞬発力が鍛えられました。その上で、得た情報を論理的に選んで『伝える』力。これは今、取材する際にもそのまま活きています」

2.新聞レイアウトで培った見せる力

整理部記者時代は、記者が書いてきた原稿をもとに見出しを付け、紙面レイアウトを作成した。

「新聞もマガジンも、隅から隅まで読む人は少ないです。多忙な首長の皆さんは、まずは見出しを流し読みして、『おっ』と興味を持ったところを読んでくださると思います。だからこそ、原稿で一番大事なことを見抜き、どの言葉を見出しに持ってくるかが、非常に重要です」

3.間違いのない紙面をつくる正確性

校閲の部署を経験後、市役所時代には民間資格「校正士」を取得したという。

「誤字脱字はもちろん、決められた表記ルール、皆が間違えて覚えがちな慣用句など、文章の正しさを一つひとつチェックします。マガジン全体の最終的な確認を行う今、この経験が役立っています」

「市役所での経験」を掛け合わせる

新聞記者時代は、行政の外側から物事を見ていたが、自身が行政の内側に入ったことで、意思決定のプロセスを間近で体感したという。新聞社であれば、記者の裁量で「取材したい」と思えばすぐに行動できた。しかし、行政は違った。

「係長がいて、課長がいて、部長がいて、最終的に市長がいる。そして議会もある。物事を決めるまでに、一つひとつ承認の段階を踏まなければならない。それは、市民の皆さんの『税金』を使っているわけだから、慎重にならざるを得ません」

外からは見えない、「行政の中の苦労」を知っていること。それが、首長マガジンの記事に深みを与える。

「両方を知っているからこそ、双方向の立場で質問ができます。 例えば、『一般的にはこう思われていますが、実際はどうですか?』という外側の視点での質問。 それと同時に、『市役所職員としては、こういうところが大変だったと思うのですが、首長(あるいは担当者)としてどうお考えですか?』という内側の視点に立った質問。この両方からアプローチできることが強みです」

編集ディレクターから見た「首長マガジン」の価値とは

首長マガジンは、広告収益によって運営されている。掲載されるのは、行政との連携を模索、強化したい企業だ。ディレクター視点で、企業が首長マガジンに広告を出す本質的な価値は、どこにあるか。

「自治体職員は、『他の自治体が何をしているのか』をとても気にしています」

行政には民間企業とは全く異なる文化があるという。

「例えば、ある会社が同業者に『御社の新規事業の内容や決定プロセスを教えてください』とは聞けませんよね、ライバルですから。でも、自治体はライバルではなく『仲間』です。自治体同士で『その制度、どうやって作ったんですか?』と気軽に聞ける。新しい事業は、他の自治体の事例を『真似する(参考にする)』ところから始まるところも多いんです」

ここに、首長マガジンの価値がある。企業が公民連携の取り組みを導入事例として紙面でアピール。それを見た他の自治体の首長や職員が、「うちの自治体も同じ課題があるから、この企業に話を聞いてみよう」「このサービスを入れている〇〇市に、まず話を聞いてみよう」となる。この「きっかけ作り」こそが、最大の価値だと言う。

単に広告主の要望をそのまま記事にするだけではない。そこにあるのは、「共創」の姿勢。広告記事の制作では、編集部がクライアントからサービスの概要や訴えたいことを深くヒアリングする。その上で、「この言葉より、こちらの言葉に変えた方が、自治体の首長には響く」「国の動向としてこういう発表があったので、その情報も入れた方が信頼性が増す」といった提案を、編集部から積極的に出す。

クライアントと編集部が対等な立場で、どうすれば最も効果的に自治体に届くかを一緒に考え、作っていく。それが、首長マガジンの広告記事のスタイルだ。

「人」が紡ぐ、首長マガジンの明日

メディアの最前線で伝える力を磨き、行政の内部で「課題解決」と「仕組み」を学んだ佐藤。全国の首長が何を考え、何に悩み、そして何を求めているのか。 その本質を捉える質問力と、多忙な彼らに届ける編集力。 そして、行政と企業の間に立ち、両者の視点を理解した上で橋渡しをする力。

読者である首長にとっても、パートナーである企業にとっても、「首長マガジン」が信頼できる存在である理由は、その編集を担う「人」の力強い視点にこそあった。

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